日本人は古来より山岳信仰が根っこにあるからか、山が好きです。
最近は登山ブームで、カラフルなウェアを着た「山ガール」と呼ばれる
若い女性登山者が増えています。
女性がアウトドアスポーツをけん引しているなか、山を歩くだけでなく、
山を走る競技「トレイルランニング」が日本でも脚光を浴びています。
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2010年信越五岳トレイルランニング110kmレース |
当編集スタッフの関係者が、日本最長と言われる信越五岳を結ぶ
日本最長110kmの山岳トレイルランニングレースに出場するということで、
どんなレースか取材にいきました!
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大会コースマップ (提供元:信越五岳トレイルランニングレース実行委員会) |
この壮大なレースは2009年より開催され、今年で2回目。
新潟県と長野県にまたがった五岳、斑尾山(1382m)、黒姫山(2053m)、
妙高山(2454m)、戸隠山(1904m)、飯綱山(1917m)を舞台として
22時間以内に走るレースです!
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戸隠神社・奥社 |
コースの戸隠山といえば、いまやパワースポットで有名な戸隠神社がある霊山です。
このレースではスタートから約85km地点で戸隠神社・奥社の鳥居をくぐり抜けて、
神社のご利益をいただきながらゴールを目指します。
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奥社・参道杉並木(こちらはレースコースではない) |
まだ、日が明るいうちに戸隠神社にたどり着くのは、限られたトップランナーです。
多くのランナーは真っ暗闇の鳥居を通過します。
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箱根駅伝コース 109.9km |
110kmがどのくらいの距離かというと、箱根駅伝の復路109.9kmとほぼ同じです。
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熊野古道(高野山~熊野速玉大社) 116km |
高野山から熊野速玉大社までの熊野古道116kmにも近い距離です。
どれだけたいへんな距離か理解できたと思います。
しかも、このレースは山を五つ越えして走ります!
いま流行りの巡礼ウォークとは違いますね。
レース当日の早朝4時の開場は、すでにランナーで埋め尽くされていました。
スタートは朝の5時半で翌日の午前3時半までにゴールすれば完走ですが、
コース途中にある3つの関門を制限時間内に通過しないとそのランナーは
レース中止になります。
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トレイルランニングはリュックを背負って走る |
私たちが取材したヨウコさんはトレイルランニングを始めてまだ3年くらい。
もともと1kmも走れなかったのが、練習の積み重ねでフルマラソンを完走できる
ようになり、今ではこのようなウルトラマラソン(70km以上の距離のマラソン)も
参加できるようになったそうです。
去年の第1回目の信越五岳レースでは残念ながら92kmの第3関門で
制限時間に引っ掛かりゴールできずに終了しました。
今年は是が非でも完走したいということで、「自分に勝つ!」という思いを込めて
成田山新勝寺の勝守を身につけて出走しました。
背中のリュックに入っているのは主に炭水化物の補給食です。
30代の女性の平均的な1日の消費カロリーは約2000~2400カロリーです。
この山岳レースだけで消費されるカロリーは約7000カロリーなので、
通常の3倍以上のカロリーを消費します。
当然、何も食べないとレース途中でガス欠を起こします。
参加したランナーは約570名で、去年の完走率は約7割です。
レース出走者にキノコのコスプレランナーがいました!
あまりに目立つので誰もが振り向きます。。。。
コスプレをする人はランニングに自信がないとできません。
このコスプレランナーもフルマラソンはサブスリーとのことでした。
午前5時20分、いよいよスタートラインに出発です。
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スタート地点 |
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GO! |
午前5時30分に一斉にスタートして22時間掛けたドラマが始まりました!
トレイルランナーは山を走る修験道者みたいなものです。
自己に厳しい人でなければ完走できません。
いちばん最後にスタート地点を走っていたのがキノコのコスプレランナーでした。
最後まで目立っていました!
110kmのコースの途中に8カ所のエイドステーションがあり、
ボランティアスタッフが飲食等を提供しています。
ヨウコさんは去年の大会よりも順調にチェックポイントを通過していきました。
キノコのコスプレランナーもとても速かったです。
スタートはビリでもどんどん追い抜いていきました。
他人ながらあのかぶりモノは暑くないのか心配してしまいました。
トップランナーはスタートから11時間くらいで完走していますので
ゴールは午後4時半過ぎくらいです。
しかし、大半のランナーは午前0時過ぎにゴールします。
ヨウコさんは午前3時くらいに21時間30分走って、312位で
念願の完走を果たしました!
ちなみにキノコのコスプレランナーも無事に完走しました。
みなさん、おめでとうございます!
このトレイルレースは自然保護違反やゴミ投棄者には失格規定を
設けており、自然環境の保護にも力を入れています。
全体を通して、このレースはランナーと応援者、ボランティアが一体
となった楽しめるレースだと思いました。
スキー人口が激減しているなか、トレイルランニングは新たな地域活性化
へ寄与する可能性はあります。